DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や必要性、進め方、成功事例を徹底解説

【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで

最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が大きく叫ばれています。しかしなぜDXが必要なのか、どうしてそんなに急ぐべきなのか、きちんと理解できているでしょうか。
DXのことを、デジタル化による業務効率化や、新しいビジネスモデルの開発につながるものだと認識している人は多いでしょう。しかし、DXの意義はそれだけではありません。DXとは、組織全体や企業文化をも巻き込むダイナミックな変革なのです。そして、企業が「2025年の崖」を乗り越え、生き残っていくためには、DXの推進を急がなければいけません。

本記事では、DXの概要やDX推進を急がなければいけない理由などの基本的な知識に加え、DXの進め方や取り組み事例といった実践的な内容についても幅広く解説します。

「DXを推進したいが進め方が分からない」という方は以下のダウンロード資料をご覧ください。具体的な事例とともに分かりやすく紹介しています。

これからDXを進めていくにはどこから手を付ければいい?-事例とともに、業務のデジタル化とDX推進のステップについて解説-

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

経済産業省は、DX(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation)について次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
引用:DX 推進指標とそのガイダンス|経済産業省

端的にいうと、DXとはデジタル技術を利用し、変化の激しいビジネス環境に即して、製品、サービス、ビジネスモデル、そして組織のあり方にまで変革を起こす取り組みです。これにより競争に打ち勝ち、利用者、消費者に価値提供を行うことを目指します。

つまりDXは「目的」ではありません。ビジネス環境の変化に即して現状を変革していくという目的を達成するための「取り組み」が、DXです。ビジネス環境は常に変化していくため、DXという取り組みは一度では終わりません。

DXとIT化の違い

「IT化」というキーワードとDXは、しばしば混同されがちです。

ITとは「Information Technology:情報技術」の略称です。情報をデジタル化して入手・保存・伝達するための技術を指します。業務のなかで、「電話や手紙のアナログなやり取りがEメールやチャットに取って代わられる」というのは分かりやすいIT化の例です。IT化は既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図るという意味を持ちます。

これに対してDXは、前述した定義のとおり「データとデジタル技術を活用して、社会や組織・ビジネスの仕組みそのものを変革する」ことを指しています。つまり、DXという目的は、IT化を手段として推進される、ということがいえます。

DXとIT化との違いはこちらの記事もご参照ください。
DXとIT化との違いは?事例とともにわかりやすく紹介

デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違い

経済産業省は、DXは3つの異なる段階に分解できるとしています。1段階目がデジタイゼーション、2段階目がデジタライゼーション、最終段階がDXです。

経済産業省におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の3つの異なる段階

デジタイゼーション

デジタイゼーションは、既存の業務プロセスそのものは変化させずに、アナログ・物理データをデジタルデータ化することです。例えば以下のような取り組みが挙げられます。

・紙の書類や帳票をスキャンしてPDFファイル化する
・手書きの議事録をテキストデータ化する
・アナログの音声データをMP3などのデジタル音源に変換する

これらは既存のものを単にデジタルデータに変換するだけで、プロセス自体は変わっていません。

デジタライゼーション

デジタライゼーションは、個別の業務・製造プロセスのデジタル化を指します。例えば以下のような取り組みが挙げられます。

・請求書処理を自動化システムに移行し、承認プロセスもデジタル化する
・工場の生産ラインにIoTセンサーを導入し、リアルタイムでデータを収集・分析する
・在庫管理を手作業からバーコード・RFIDによる自動化システムへ移行する

これらは個々の業務プロセス自体をデジタル技術で効率化・最適化する取り組みです。

デジタイゼーションについて詳しくは、「デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説」を、デジタライゼーションについて詳しくは、「デジタライゼーションとは?効果や業種別の具体例と推進のステップ」をご覧ください。

DX

対してDXは、部署単位ではなく全体の業務・製造プロセスをデジタル化し、事業やビジネスモデル、ひいては組織全体をも変革していくことです。さらに顧客だけでなく社会全体のニーズを満たし、影響が社会全体にまでおよぶこともあるような試みのことです。例えば以下のような取り組みが挙げられます。

・製品の使用状況データを収集・分析し、新たな予測保守サービスを展開する
・実店舗とECを統合し、AIによる需要予測とパーソナライズされた購買体験を実現する
・遠隔サービスのインフラを整備し、場所や時間に縛られない新しい顧客体験を提供する

このようにDXは、デジタイゼーションやデジタライゼーションよりもさらに踏み込んで、ビジネスモデル自体の変革や新しい価値創造を実現する取り組みです。

DXを理解するうえで重要な「DXレポート」とは

2018年5月、経済産業省は有識者による「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置しました。同年9月7日に同研究会が公表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(以降、DXレポート)をきっかけに、DXという言葉とその必要性が注目されるようになりました。

その後、これまで計4回に渡りDXレポートが公開されています。それぞれの内容から日本企業のDX推進における課題の変遷と今後の方向性が見えてきますので、確認しておきましょう。

DXレポート(2018年):「レガシーシステム」と「2025年の崖」

最初のDXレポートでは、DX推進の背景として冒頭で次のように述べ、警鐘を鳴らしています。

「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている」
引用:DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~
DXレポートには続けて、DXを推進するうえでの課題が説明されており、そのひとつが「レガシーシステムの問題」です。

長く使い続けられているレガシーシステムのなかには、老朽化し、新しい技術を取り込むことができなくなったものが存在します。メンテナンスを繰り返してきたことでシステムが肥大化・複雑化したケースもあるでしょう。そのうえ、担当者の退職や異動などにより、システムを扱える人がいなくなっている場合もあります。

こうしてブラックボックス化した「レガシーシステム」の存在が、DXを阻む要因のひとつになっているとDXレポートでは示唆しています。

また、レガシーシステムは繰り返しメンテナンスを行う必要があるため、それにコストと人的リソースが奪われてしまう問題もあります。レガシーシステムをこのまま放置していれば、それらに発生するコストである「技術的な負債」がますます増え、新しいデジタル技術への投資ができなくなってしまうのです。また、システムの一層の老朽化によるシステムトラブルやセキュリティリスクの増大も予測されます。

こうしたトラブルにかかわってしまうことで、ビジネス推進における敏捷性が失われ、市場での競合優位性を保てなくなるでしょう。場合によっては、企業の存続にまで影響するかもしれません。

このような理由から、DXレポートでは、レガシーシステムの問題を解決できなければDXの実現が見込めないだけでなく、「2025年の崖」を回避できない可能性を示唆しました。

具体的には、レガシーシステムを放置したまま2025年を迎えた場合、2025年以降、1年あたり最大12兆円もの経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしたのです。

最初のDXレポートが公表された2018年以降、この2025年の崖を回避するために、DXへの取り組みを急ぐ必要があるとされてきました。

レガシーシステムや2025年の崖については、「レガシーシステムを使い続けることの弊害とは?脱却するための対策も紹介」「2025年の崖とは?意味と企業への影響、克服するためにすべきことを紹介」で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

DXレポート2(2020年):企業文化の変革の重要性

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発表された第2弾では、単なるレガシーシステムからの脱却ではなく、企業文化を含めた変革(レガシー企業文化からの脱却)が重要であることが強調されました。

具体的には、コロナ禍において、テレワークやIT環境、就業規則等を柔軟に適応できた企業とそうでない企業で差が生じたとし、企業が目指すべき方向性を以下のように述べています。

『企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ、「素早く」変革「し続ける」能力を身に付けること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観点)を変革することが重要』
引用:DXレポート2 中間取りまとめ(概要)

このように、DXレポート2では変化の激しい市場環境に素早く適応できる組織づくりの必要性が示されています。

DXレポート2.1(2021年):新たな企業間関係の構築

2021年に公表された第3弾では、ユーザー企業とベンダー企業の関係性に焦点が当てられました。従来の相互依存関係は表面上Win-Winに見えるものの、実際には双方に課題があり、低位安定の関係に留まっているとされています。例えば、ユーザー企業(DX未着手・途上)は「ベンダー依存によりIT対応力が育たない」、ベンダー企業は「低収益により技術開発投資が困難」といった問題を抱えていることが示されました。

そこで本レポートでは、デジタル社会の実現のためには、個社単独ではなく産業全体で変革をしていくために「デジタル産業」が不可欠であるとし、デジタル産業の構成企業像を次のように定義しています。

「デジタル産業を構成する企業は、価値創出にデジタルケイパビリティを活用し、それらを介して他社・顧客とつながり、エコシステムを形成している。」
引用:DXレポート2.1(概要)

ビジネス上のエコシステムとは、ビジネスにおける生態系を意味します。つまり、業種・業界を越えて複数の企業や団体が連携し、それぞれの強みを生かしながら新しい事業を展開し、共存共栄していく仕組みのことです。

ビジネスエコシステムについて詳しくは、「ビジネスエコシステムとは?DXとの関係やメリットなどを知ろう」をご覧ください。

DXレポート2.1では、こうして産業構造をネットワーク型にすることで、1社では成し得ない多様な価値創出につなげていくことが求められました。

DXレポート2.2(2022年):デジタル産業への変革に向けて

そして最新の第4弾では、デジタル産業への変革に向けたより具体的な行動指針が示されました。

まずDXを成功させる方向性としては、デジタル技術を業務効率化だけでなく、新規ビジネス創出や既存ビジネスの価値向上に活用することが重要とされました。また、それが結果として企業の収益向上につながることが述べられています。

また、収益向上の要因としては以下の2点が強調されています。
・DX推進に当たり、経営者は明確な行動指針を示すこと
・企業単独ではなく、同じ価値観を持つ企業との連携によってDXを推進すること

加えて、DXレポート2.2ではそれらを実現するために「デジタル産業宣言」が策定されました。ビジョン駆動、価値重視、オープンマインド、継続的な挑戦、経営者中心という5つの行動指針を示し、全社への浸透や経営者の発信を促しています。

参照:DXレポート2.2(概要)

DXレポート2.2について詳しくは、「DXレポート2.2とは?その内容とこれまでのDXレポートとの違い」をご覧ください。

これら一連のDXレポートが示すように、DXへの取り組みは単なるデジタル化から、企業文化の変革、そして産業構造全体の変革へと、より広い視野での取り組みが求められるようになってきたことが分かります。

「DX動向2024」から見る日本の現状とDX推進への課題

DXに関する重要な資料はDXレポートだけではありません。経済産業省のIT施策実施機関である「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」からもDXに関する資料が出ており、こちらでは主にDXの取り組み状況や成果がまとめられています。

この「DX動向2024」の内容をもとに、日本のDXの現状はどうなっているのか、またどのような課題があるのかを見ていきましょう。

なお、「DX動向2024」の前にIPAから発表された「DX白書2023」については『「DX白書2023」公開!要旨とDX取り組み事例を紹介』で解説しています。

日本のDXの現状

「DX動向2024」の調査からは、日本企業全体ではDXに取り組む企業が年々増えていることが分かります。「全社的にDXに取り組んでいる」「一部の部門でDXに取り組んでいる」「個別の部署ごとにDXに取り組んでいる」と回答した企業の割合は、2021年度は55.8%、2022年度は69.3%、2023年度は73.7%と、右肩上がりで上昇しています。

●海外との比較

しかし同調査からは、米国と比較すると日本のDXはやや出遅れていることも読み取れます。2022年度時点で「DXに取り組んでいない」と回答した企業の割合は、米国では約1割にとどまるのに対し、日本では約3割となっています。

では、具体的にどのような企業でDX推進が遅れているのでしょうか。

従業員規模別の状況

まず、従業員規模別のDX取り組み状況をみると、従業員規模が小さくなるにつれてDXに取り組む企業の割合が減少していることが分かります。特に従業員数100人以下の企業では、約4割の企業が「DXに取り組んでいない」と回答しており、従業員数1,001人以上の企業と比較すると、その差は顕著です。

業種別の状況

また業種別のDX取り組み状況からは、金融業・保険業や製造業でDXが進んでいることが分かります。一方、特にサービス業ではDXの取り組みが低い水準にとどまっています。各業種においてビジネスモデルや市場環境は異なりますが、この業種間の取り組み格差を縮小していくことが、日本のDXの課題のひとつです。

●DXの成果

また、取り組みの成果については、デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXの3段階のうち、特に「DX」の成果が十分に出ておらず、道半ばだとされています。ある程度DXを進めていると自己評価している企業でも、実はデジタイゼーションやデジタライゼーションの段階だったというケースもあるようです。

こうした状況をかんがみると、日本のDXの推進具合は不十分といえるでしょう。では、なぜ日本ではDXが進まないのでしょうか。

DX推進への課題

日本でDXが進まない背景には、次のような課題があると考えられます。

  • そもそもデジタイゼーションやデジタライゼーションが進んでいない      
    DXレポート2では、必ずしも3段階(デジタイゼーション、デジタライゼーション、DX)を順に踏む必要はないとしていますが、これは現実的ではありません。デジタイゼーションやデジタライゼーションを先に行う、または少なくとも同時に実施しなければ、DXの推進は不可能です。そのデジタイゼーション、デジタライゼーションすら進んでいない企業が多数あるのが課題のひとつです。
  • DXへの理解が薄い
    DXとは何かを理解していないケースも少なくありません。前述のようにデジタイゼーションやデジタライゼーションとDXとを混同し、デジタイゼーションやデジタライゼーションだけで満足してしまっている企業も存在するようです。DXについての理解が不足していることも課題に挙げられます。
  • 他人任せなDX
    デジタル化を外注し、それだけでDXに取り組んでいると安心している企業があります。しかしDXでは、コアとなるシステムや技術については基本的に内製化が求められます。DXでは、単純にITを導入するだけではなく、企業全体を変革しなくてはなりません。また、変革の目標設定から、それを実現するためのシステムの企画・開発・運用までをできるだけスピーディーに行う必要があります。そのためには、中心となるシステムを自社で内製化し、その過程で得られた知見やノウハウを蓄積していかなければなりません。デジタル化を業者に外注するだけでは、DXの実現は困難です。
  • デジタル人材が不足している
    現在日本では、デジタル人材が大きく不足しています。ITベンダーに所属するエンジニアも不足していますが、ITユーザー企業でもデジタル化を担えるような人材は足りていません。企業側にはデジタル人材を育成するような環境や余力がないのが現状です。日本では海外に比べてデジタル人材に対する評価が低く、労働環境や給与水準が整っていないことも多いのです。このような理由から、DXを推進するデジタル人材の確保が難しいこともDXを阻む理由のひとつです。
  • 経営陣の危機感が薄い
    DXレポートで指摘された2025年の崖に加え、DXレポート2では、コロナ禍によりビジネス環境が大きく変化し、デジタル化のスピードがより速くなったことが指摘されています。それほど厳しい環境下にあるにもかかわらず、間近に迫った問題への危機感が経営陣に薄く、積極的に動かない企業も存在します。

DXの課題や失敗例については、以下の記事でも紹介しています。

日本におけるDXを阻む課題とは?実現に向けたステップも解説

DX推進に苦戦する原因となる障壁とは?乗り越えるためにするべきことを紹介

DXに失敗する理由とは。失敗例から成功のポイントを学ぶ

DXを推進することによるメリット

DXを推進することによるメリット

DXへの取り組みにはさまざまな課題があるとはいえ、企業にとってDX推進は非常に重要です。DXの推進には、企業にとって次のようなメリットがあります。

業務の生産性向上、効率化につながる

DXに取り組むことで、ルーティンワークへのRPA導入、ICTによる遠隔地とのコミュニケーションなど、業務プロセスのさまざまな部分を効率化し、生産性を向上させることができます。

新しいビジネスやビジネスモデルを創出できる

DX推進により、優れたデジタル技術により新しいビジネスやビジネスモデルの創出が可能です。業務効率化によって従業員の単純作業にかかる時間が減少すれば、より生産性の高いクリエイティブな仕事に時間を充当できます。

ビジネス環境や顧客ニーズなどの変化に対応できる

DXを通じて従業員がより生産性の高いクリエイティブな仕事に専念することで、ビジネス環境や顧客ニーズの変化に素早く柔軟に対応しやすくなります。

効率的なデータ活用ができる

DXの過程でIoTやAIを導入すれば、効率的にデータを収集・分析できるため、仮説を立ててからデータで証明するのではなく、大量に生のデータを集めてから分析を行うというアプローチが実現可能になります。それにより、より顧客のニーズにもとづいた商品やサービスの開発につなげられます。

データ活用の重要性については、「DXを推進するうえでなぜデータ活用が重要?その関係と効果とは」をご覧ください。

BCP(事業継続計画)対策が進む

自然災害やパンデミックなどの影響により、業務がストップすることは今後もありえます。そんなとき、BCP対策の一環としてテレワークは有効です。平時よりデジタル技術の活用がなされていれば、こうした切り替えが容易になります。

BCP対策の進め方については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
どうする?進まない中堅・中小企業のDXとBCP対策。「業務の自動化」ソリューション事例が豊富なベンダー選びが鍵(前編)
どうする?進まない中堅・中小企業のDXとBCP対策。「業務の自動化」ソリューション事例が豊富なベンダー選びが鍵(後編)

職場環境の改善につながる

DXによる単純作業の削減により、作業時間を短縮できます。また、テレワークの導入や遠隔地とのオンラインでのコミュニケーションが可能になることで、移動時間が減少して働く場所の自由度が増します。その結果、長時間労働の解消、働き方改革や従業員のワークライフバランスの実現につながります。

働き方改革の進め方について詳しくは、「DXと働き方改革の関係性は?働き方改革・DXともに推進するためには」をご覧ください。

以上が企業にとっての主なメリットです。
なお、消費者にとっても、ニーズに沿った新しい商品やサービスが提供される、新しいビジネスモデルから生まれたより良い顧客体験が提供されるなどのメリットがあります。

DX推進のステップ

DXまでのステップ

DXを実現するには、次の3段階が必要です。

  1. デジタイゼーション
  2. デジタライゼーション
  3. DX(デジタルトランスフォーメーション)

DXレポート2では、必ずしもデジタイゼーションから順番に実施を検討する必要はないとされています。しかし、デジタイゼーションとデジタライゼーションの実施がなければ、DXの実施は難しいでしょう。

3段階すべてを同時に実施することも不可能ではありませんが、これまでデジタイゼーションにもほとんど手を付けていなかった企業が、一気にデジタイゼーション、デジタライゼーション、DXを進めるのには膨大な手間とコストがかかってきます。

DXは、デジタイゼーションから着実にステップを踏んでいくのが現実的でしょう。段階的に進めるためには、以下のようなステップを踏むのが効果的です。

ステップ1:現状の課題を把握する

まずは組織内の業務プロセスを分析し、紙の書類や手書きの記録、アナログデータなど、デジタル化が必要な対象を洗い出します。部門ごとに業務の非効率な部分や改善ポイントを特定し、デジタル化による改善効果が高い領域を明確にしましょう。また、現状のシステムやデジタルツールの利用状況も把握し、今後の改善に向けた基礎情報を整理します。

ステップ2:DX推進体制を構築する

DX推進に必要なスキルを明確にし、内部人材の育成を中心に、必要に応じて外部からの採用も行いながら人材を確保しDX推進体制を構築しましょう。また、経営層から現場まで全社的な協力体制を築くため、デジタルリテラシーの向上やDXの重要性の共有を通じて、変革を受け入れる組織文化の醸成を進めることも重要です。

人材確保のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

DX人材を育成するには?方法や成功事例、重要なポイントを解説

DX推進に役立つ資格おすすめ10選!求められるDX人材についても紹介

ステップ3:基本的なデジタル化を推進する(デジタイゼーション)

アナログ情報のデジタル化を進めます。これは紙の書類をPDFにしたり、手書きのメモをテキストデータに起こしたりと、既存の業務のやり方は変えずに、情報をデジタルデータに置き換えていく段階です。この際単なるデータ変換にとどまらず、後の活用を見据えた適切なフォーマットでの保存や、データの整理・分類も行うことで、業務改革に向けた基盤をつくることができます。

ステップ4:個々の業務プロセスを見直す(デジタライゼーション)

デジタイゼーションで蓄積したデジタルデータを活用し、業務プロセス自体の変革を進めます。これまでの仕事の進め方を見直し、デジタルを前提とした新しい業務フローを設計しましょう。例えば、請求書処理を自動化したり、生産状況のデータをリアルタイムで管理したりすることで、個別業務の効率化を実現します。場合によっては、古いシステムの刷新や、業務に適した新しいデジタルツールの導入も必要になります。

ステップ5:組織全体でのデジタル活用を推進する

個別の業務改革を組織全体に広げ、部門を超えたデータ活用に取り組みます。各部署で個別に管理していたデータを一元化し、経営判断や戦略立案に活用できる分析基盤を整備しましょう。AIやIoTなどの先端技術も取り入れることで、データに基づく予測や意思決定の高度化につながります。

ステップ6:全社的なビジネスモデルの変革に取り組む(DX)

これまでの段階で整備したデジタル基盤とデータを活用し、新しい製品・サービスの開発や、顧客体験の改善など、ビジネスモデル自体の変革を推進します。業界の枠を超えた新しい価値創造にも取り組むことで、持続的な事業成長や競争力の強化につながっていくでしょう。

これらのステップは順を追って進めていきますが、各段階は相互に関連しており、継続的な改善が必要です。定期的に進捗状況や成果を見直し、必要に応じて戦略を見直すPDCAサイクルを回すことも忘れずに行いましょう。

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DXの成功事例

DXの成功事例を、これまで「DX銘柄」を取得した企業から紹介します。
経済産業省では、東京証券取引所と共同して、2015年から2019年まで「攻めのIT経営銘柄」という名称で毎年企業を選定していました。2020年からは「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定を実施しており、積極的にDXに取り組み成果を出している企業がDX銘柄に選ばれています。

株式会社小松製作所

同社は継続的なDXへの取り組みが高く評価され、DX銘柄のうち「特に傑出した取り組みを制度開始当初から継続している企業」として、「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されています。

同社は製造業におけるDX推進企業の先駆け的存在として定評があり、特に「スマートコンストラクション」という建設現場向けICTソリューションの提供により、建設現場における労働力不足という課題解決に貢献しています。「デジタル技術を活用して個別の工程を最適化するだけでなく、それらをつなぎ合わせることで施工プロセス全体を効率化する」という考えのもと、施工全体が最適化された「施工のデジタルトランスフォーメーション」を実現してきました。

従来は、一連の施工プロセスをそれぞれデジタル化していましたが、

「スマートコンストラクション」は、この1~4のプロセスごとにデジタル化されたデータをひとつにつなぎ、施工プロセス全体を最適化できます。建設生産における全工程が一元管理できるので、ボトルネックの発見や、最適なオペレーションはどうすれば良いかが分かります。

近年では、この取り組みを進化させた「DXスマートコンストラクション」を展開しています。株式会社NTTコミュニケーションズなど複数の企業と共同で「株式会社EARTHBRAIN」を設立し、建設現場のあらゆるデータを可視化するソリューションの開発を進めてきました。ICT建機との組み合わせにより、安全性、生産性、環境性の向上を実現し、そのサービスを世界各地の建設現場へと展開することで、グローバルな建設産業の発展に貢献しています。

参照:

コマツのデジタルトランスフォーメション戦略|株式会社小松製作所「DX銘柄2023」選定企業レポート|経済産業省

富士通株式会社

同社は、これまで多くの企業のDX推進に貢献し「DX銘柄」に度々選出されてきました。2020年にはDXコンサルティングを行うRidgelinez(リッジラインズ)株式会社を新設し、より専門的に顧客企業のDX推進をサポートしています。Ridgelinez株式会社では中立性を保ち、必ずしも富士通製品・サービスを提案するのではなく、「顧客にとってDXを実現するために何が必要か」という顧客ファーストの視点でアドバイスするスタンスをとっているのが特徴です。

参照:Ridgelinez (リッジラインズ)株式会社 | DXコンサルティング

株式会社りそなホールディングス

同社は新しい個人向けサービスの構築を目指してDXを推進するなか、「りそなグループアプリ」をリリースしました。「銀行を持ち歩く」「スマホを銀行にする」をコンセプトに、使いやすさにこだわって開発されたアプリで、従来は窓口のみで提供されていたサービスも含め多くのサービスをスマートフォンで受けることが可能です。継続的に機能の見直しや拡張に取り組み、2024年9月にはダウンロード数が1,000万件を超えるまでに成長しています。

このデジタル戦略は法人向けサービスにも広がりを見せ、現在は、取引先企業がスマートフォンを通じて銀行サービスを利用できる「りそなグループアプリ for ビジネス」も提供しています。    

参照:

りそなHD、銀行アプリの機能拡充へ 南昌宏社長「コロナ禍経て顧客の金融行動変わった」|産経ニュース

りそなグループアプリ for ビジネス|りそな銀行

DX推進のポイント

これまでの内容を踏まえ、DX推進のためのポイントを考えていきましょう。

  • 経営層がDXリテラシーを持ち、トップダウンで改革を進める
    DXは、部署単位、業務プロセス単位の改革ではありません。組織全体にまたがり、企業文化にもかかわる規模の改革を行うことになります。そのため、情報システム部門が提唱して進めるようなボトムアップ方式では、企業全体として進めていくのが困難です。経営層が主導し、トップダウン方式で進めるほうがスムーズに進みます。
    DXリテラシーについて詳しくは、「DXリテラシーとは? ITリテラシーとの違いや求められる理由などを解説」をご覧ください。
  • 組織全体で意識改革を行う
    DXは企業全体の改革や再編につながります。改革や再編の際は、部署同士の争いからトラブルに発展することもあるかもしれませんが、それではDXをスムーズに進められません。DXの必要性を組織全体で認識し、DXを推進するように意識改革を行うことが大切です。
  • デジタルツールを積極的に導入する
    DXを推進するには、デジタルツールの利用が不可欠です。これまでの業務プロセスやワークフロー、組織構造などの課題を分析し、必要なところに必要なデジタルツールを導入していく必要があります。 DX推進に使われるツールは「DXツール」とも呼ばれます。
    DXツールについて詳しくは、「DXツールとは?意味や種類・導入によるビジネスの変化などを解説」をご覧ください。
  • コアとなるシステムや技術を内製化する
    DXは激しく変化するビジネス市場で勝ち残っていくための取り組みです。そのため「スピード」が求められます。従来の日本の企業によく見られたように、システム開発をベンダーに丸投げしていては、とても社会のニーズの変化に追い付いていけません。だからこそコアとなるシステム開発や技術は内製化が求められます。内製化により、さまざまなノウハウや知識が自社内に蓄積するメリットもあります。
    内製化の進め方について詳しくは、「中小企業におけるDXの内製化とは?内製化の重要性、どのように進めるかを解説」をご覧ください。

DXを実現する技術

DXを実現する技術

DXを実現するには、次のような技術が必要です。

AI(人工知能)

DXでは、単純にデジタルツールを導入するだけでなく、利用する過程で取得したデータをどのように活用するかがポイントです。このデータ活用において近年特に注目を集めているのが、AI(人工知能)技術です。    

AIとは、人間の知的能力をコンピュータで再現する技術で、大量のデータから学習し、パターンを見つけ出したり、予測を行ったりすることができます。近年ChatGPTをはじめとする多様な生成AIの登場により、その活用範囲は急速に広がってきています。

AIと組み合わせることで、より多くのデータを一度に扱えるようになり、処理速度が上がります。また、高度で複雑な処理も可能になります。あらゆる業務を効率化・自動化に役立つため、従業員は定型作業から解放され、より創造的な業務に注力できるようになるでしょう。

ただしAI活用にあたっては、適切なデータの収集や、プライバシーへの配慮、倫理的な観点からの検討も必要になります。企業の状況や目的に応じて、適切な活用方法を選択していくことが重要です。

AIの基礎知識や活用法、リスクなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。

生成AIとは?DXとの関連は?活用の広がりが期待される技術

AIをビジネスに生かすには?24の活用事例とメリット、注意点を解説

ハルシネーションとは?生成AIを利用するリスクと対策を考える

RPA(Robotic Process Automation)

RPAは、企業の定型業務を自動化できるソフトウェアロボットです。ルーティンワークや繰り返しの多い作業を自動化することで、業務を大きく効率化できます。それによって、従業員     はよりクリエイティブで付加価値の高い仕事に専念することが可能になり、DXを推進する手助けにもなります。

RPAについては、以下の資料・記事で詳しく解説しています。

【eBook】DX時代に、進化したRPAとは。業務の自動化と成果の見える化を実現

RPAとAIの違いとは?組み合わせで可能な業務効率化や活用事例も紹介

5G(第5世代移動通信システム)

DXでは、オフィス以外のさまざまなところでもデジタル端末とインターネットを利用します。そのため、大容量で高速な通信環境は必須です。

5G通信には「超高速」「多数当時接続」「超低遅延」という特長があり、リアルタイムでデータをやりとりするのに向いています。DXの実現には5G環境が必須になっていくでしょう。

5Gについて詳しくは、「5Gとは?定義やできること・課題などをわかりやすく紹介」をご覧ください。

IoT(Internet of Things)

IoTは「モノのインターネット」ともいわれ、モノにセンサーやAIを搭載してインターネットに接続することで、さまざまな情報収集が可能になる仕組みです。これまではモノがある場所まで行かなければ収集できなかった情報を、離れた場所からリアルタイムに取得できます。即時性のある現状把握は、DXには欠かせない要素です。

IoTについては、以下の記事で詳しく解説しています。

IoTとDXはどう違う?ICT・AI・RPAとの違いも紹介

IoTとは?仕組みと効果・課題、導入事例などを紹介

AIとIoTを組み合わせると何ができる?活用方法とその注意点

クラウドサービス

DXでは、手軽に利用しやすいインターネット環境とインフラが必要です。利用するインフラには、低コスト、構築に時間がかからない、柔軟性が高い、運用しやすいなどの特長が求められます。これらの要求を満たすのがクラウドサービスです。利用目的やデータの機密性によって、パブリッククラウドとプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドを使い分ける必要があります。

ビッグデータを活用するためのツール

DXでは、目的に合わせたデータを取得するのではなく、常にリアルタイムで大量の生データを取得し、それを分析していくアプローチが主流です。そのためには、ビッグデータと呼ばれる、さまざまな種類や形式を含む膨大なデータの取得と分析をしなければいけません。ビッグデータを収集するためのIoTやRPA、分析するためのBIやAIといったツールが必要になります。

ICT(Information and Communication Technology)

ICTは「情報伝達技術」と訳され、さまざまなIT機器を使って情報処理やコミュニケーションを行うことを指します。ICT 環境では、インターネットを利用して、距離や時間に関係なく多くの情報を共有できます。ICTは、DXで必要とされるビッグデータの収集や、リアルタイムな現状把握に欠かせない技術です。

DXの関連キーワード

最後に、DXを理解し推進していくうえで重要となるキーワードを列挙します。DXに取り組む際の参考にしてみてください。

まずは人材・推進体制におけるDXの関連キーワードを紹介します。

CDO(Chief Digital Officer)

CDOは日本語で「最高デジタル責任者」と訳されます。DX推進の責任者として、全社的な戦略立案と実行を担う立場です。デジタル技術を活用した業務改革や新規事業の創出など、企業のDXにおける重要な意思決定を行います。

DX人材

DX人材とは、DXを進めるために必要な人材のことです。DXレポート2では次のように定義されています。

「自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材」

引用:DXレポート2 中間取りまとめ(概要)|経済産業省

リスキリング

リスキリングとは、既存の従業員がさまざまなスキルを習得し、新しい役割を担えるようになるための教育です。現在DX人材は不足していることから、リスキリングは企業のDX推進に不可欠な取り組みとなっています。

リスキリングについて詳しくは、「リスキリングとは?DX推進のための人材確保に不可欠な戦略」をご覧ください。

人的資本経営

従業員を重要な経営資源として捉え、その能力開発や働きがいの向上に投資を行う経営手法です。人的資本経営を実践する際は、組織のDX戦略と連動した人材戦略を構築することで、より大きな効果を得られるでしょう。

続いて、組織開発・ビジネスモデルにおけるDXの関連キーワードを紹介します。

データドリブン経営

収集したデータを分析し、経営判断に活用する手法です。感覚や経験だけでなく、客観的なデータに基づいて意思決定を行います。これにより、意思決定の精度向上や、経営判断の透明性の確保が期待できます。

データドリブンについて詳しくは、「データドリブンとは?活用するメリットや実行方法、事例などを紹介」をご覧ください。

カスタマーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンスは日本語で「顧客体験」や「顧客体験価値」と訳されます。顧客が企業とかかわるあらゆる場面での体験の質を重視する考え方です。DXを通じて、より良い顧客体験の提供を目指すことが大切です。

アジャイル経営

市場の変化に柔軟かつ迅速に対応できる組織運営の方法です。小さな改善を素早く繰り返しながら、継続的な成長を目指します。

デジタルガバナンス・コード

経済産業省が策定した企業のDX推進に関する指針です。2024年9月には「デジタルガバナンス・コード3.0」が公表されています。この新版では、DX経営による企業価値向上に焦点を当て、経営者がとるべき対応を明確にしています。

参照:デジタルガバナンス・コード3.0|経済産業省

最後に、サステナビリティにおけるDXの関連キーワードを紹介します。

ESG

企業経営において環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を重視する考え方です。企業が持続的に成長し続けるために、これらを考慮したDX推進が求められています。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)

持続可能な社会の実現に向けて、企業が事業や組織を変革(トランスフォーメーション)していく取り組みを指します。DXはその実現を支えるうえでも重要な手段となります。

SXについて詳しくは、「いま注目されるSXとは?重要視される理由やDX・SDGsとの関係などを解説」をご覧ください。

GX(グリーン・トランスフォーメーション)

環境負荷を低減し、クリーンエネルギーを中心とした脱炭素社会の実現を目指す変革のことです。DX推進の際は社会全体にも目を向け、環境課題の解決に取り組むことが大切です。 GXについて詳しくは、「グリーントランスフォーメーション(GX)とは?取り組む必要性やメリットを事例とともに紹介」をご覧ください。

DXの推進は企業に多くのメリットをもたらす

DXの推進は企業に多くのメリットをもたらす

DXについては、トップランナーと呼ばれる企業と、ほとんど対策をしていない企業との意識に大きなギャップが存在します。しかし、業種や企業規模にかかわらず、少なくとも業務の一部においてデジタル化している、あるいは必要と考えている企業は多いのではないでしょうか。企業が積極的にDXに取り組むことで、業務効率化による生産性の向上、新しいビジネスモデルの創出、データの効率的な活用、そして働き方改革の実現など、多くのメリットが期待できます。

現在、日本企業のDX推進状況は着実に進展しているものの、特に従業員規模の小さい企業や一部の業種において、まだ取り組みが遅れている状況です。しかし、今後さらなる激化が予想される国内市場での競争、また、海外からの参入に負けないよう、DXへの取り組みは不可欠です。デジタイゼーション、デジタライゼーション、そしてDXと段階的に進めながら、自社に合った形でデジタル変革を進めていくことが重要でしょう。 

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